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おいしいもの

まずい。

東京へ田舎からでてきた。

最初に頭に浮かんだこと。お米のまずさだった。

だってそれまで18年間、庄内米で育ったのだ。それでも粗末にしてなんの感慨も抱くことなく育てられたのだ。だから、ご飯のうまさはそこで身体に刻まれているのだ。

それもそのはずだ。外米というものだったのだ。そんなもの米ではない。まずいというものではない。お米ではないのだから・・・。少なくとも私の知っているものとは違ったのだ。

おいしいものはどこにでもあるとは、想わない。

というより、ほかの文化の食べ物はあまり好きにはなれない。おいしいといって出されてもいやなものはいやなのだ。

たべものは嗜好は、頭の中の思考回路に関係している。

だから、なんでと言われるより、いやだからいやだ。おいしさの比較では決してないのだ。

いやなものはいやなのだ。

おいしいものには、だから気をつけよう。きっと何かあるのだ。知らない世界のおいしいものも本当ならきっと十年後にはこの国でも普通になっているはずだ。だから、そのぐらいの時間軸でおいしさを判断することだ。

分厚いビーフステーキはおいしいのか。

新鮮な刺身はおいしいのか。

辛さのカレー味はおいしいかい。

なんの味もしないものがおいしいこともある。でも味気ないとは思わない。

それが自分の育った中でのおいしいものなら、そうなのだ。

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