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貿易障壁と空洞化

これらをうまく調整するとか、誘導するのが関税の役割でもある。

国内産業を保護するためだけではない関税の重要な役割があるのだ。

それは、国内へ優良技術を蓄えた企業の生産活動を誘致することに繋がるのだ。

マーケットはあるというなら、関税が障壁になることはわかるだろう。そこへ売り込みたいがどうにも関税が高くて競争が成り立たない。こんな状況は、相手国政府が当然、国内への投資を誘導しているということなのだ。

これはもちろん国策として実行することが必要だ。

ちょいと前までは、いいとこどりで技術移転がすむと、海外企業はポイ捨てであったのを覚えているか。でも、その技術のある商品がマーケットで不可欠のものであれば、そうなることはない。

だから、これからはFTAを利用してお互いに切磋琢磨という競い合いだけではなく、分業という体制が成り立つのではないか。

一人占めという時代にもしも逆戻りする新興勢力であるならば、その未来はまた今の先進国がたどった道と同じになる。

競争の激化が生むものは何か。何もない。

相手を卑下することが唯一の獲物ではないだろうか。

だが、それでは堂々巡りだ。

イランや北朝鮮が、中国がそういう世界情勢をどうみるのか、彼らのライバルであるインドやブラジルやインドネシアなどの大国はすでにその片鱗をみせている。

空洞化を恐れることで、物事は解決しない。

それよりも空洞化と技術移転をうまくそのレベルで組み合わせることである。

編むことと、組むことはまったく違うが、これらをさらに活用することで、空洞化が経済の発展に貢献するという図式も成り立つのだ。

一つの面で嘆くことはない。いろいろな可能性がある。だから、ひとは生きている。死ぬまではだれでも生きていける。

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